アイドルグループ・アンジュルムのメンバーである平山遊季さんが、自身が難病であることを公式サイトから発表しました。
その病気の名前はベーチェット病。
ベーチェット病は全身のさまざまな部分に炎症が起こる原因不明の病気です。
現在の日本では、指定難病と定められている病気です。
主に、口や目、皮膚、そして関節などに症状が現れることが多く、体の免疫システムが自分の組織を攻撃してしまう「自己免疫疾患」に分類されています。
この記事では、あまり聞くことがないベーチェット病について症状や治療法などを解説します。
『ベーチェット病』の主な症状
ベーチェット病の症状にはいくつかの特徴的なパターンがあります。主なものを以下に挙げます。
- 口内炎:最もよく見られる症状で、痛みを伴う小さな潰瘍(ただれ)が口の中にできます。治ってもまた同じ場所や違う場所に繰り返し現れるのが特徴です。
- 皮膚の炎症:赤い発疹や膿(うみ)をもったできものが出ることがあります。特に腕や足の皮膚に多く見られ、ニキビのように見えることもあります。
- 目の炎症(ぶどう膜炎):目が赤くなり、痛みや視力の低下が起きることがあります。適切に治療しないと視力の障害が残ったり、最悪失明に至る可能性があるため、注意が必要です。
- 性器の潰瘍:性器にも潰瘍ができることがあり、痛みや不快感を伴います。これも自然に治りますが、再発を繰り返すことが多いです。
- 関節の痛みや腫れ:膝や足首、手首などの関節が腫れて痛みを感じることがあります。この症状も繰り返し発生することがあり、日常生活に支障をきたすことがあります。
- 血管や内臓の合併症:ベーチェット病は、まれに血管や消化管(胃や腸など)、脳や脊髄といった内臓にも炎症を起こします。これらが影響を受けると、さらに重い症状や合併症が生じるリスクが高まります。
発生の原因と対象者
ベーチェット病の原因はまだはっきりとわかっていませんが、遺伝的な要素や体質、環境が関係していると考えられています。
特に、アジア、中東、地中海周辺の地域で患者が多く見られます。年齢層では20〜40代に発症しやすく、性別では男性のほうが重い症状が現れることが多い傾向にあります。
日本では全国で2万人ほどの患者がいると推定されています。
診断と治療法
ベーチェット病の診断には、特定の検査方法や単一のマーカーはありません。そのため、患者さんが示す症状や病歴を総合的に見て診断します。複数の症状が同時に現れる場合が多く、診断には時間がかかることもあります。
治療法については、症状に応じてさまざまな方法が選択されます。完治させる治療法はまだ見つかっていませんが、炎症や痛みを抑え、生活の質を保つことを目指した治療が行われます。
- 抗炎症薬や免疫抑制剤:これらの薬は体の過剰な免疫反応を抑えて、炎症を軽減します。特に関節の痛みや腫れ、皮膚や口内の潰瘍に効果があるとされています。
- ステロイド:ステロイドは強力な抗炎症薬で、症状が重いときや急な炎症を抑えるために使用されることがあります。ただし、長期の使用は副作用があるため、医師と相談しながら使用されます。
- 目の治療:目に炎症がある場合は、専門の点眼薬や軟膏(目の周りに塗る薬)を使用して治療します。重症化すると視力に影響が出るため、目の症状は特に早期の対応が重要です。
- 生物学的製剤:最近では、生物学的製剤と呼ばれる新しい薬も治療に使われるようになってきました。この薬は、免疫の働きを特定の分子レベルで調整することで、炎症を抑える効果があります。
生活での注意点
ベーチェット病はストレスや体調の変化で症状が悪化しやすいため、日常生活でもいくつかの点に気をつけることが大切です。
- バランスの取れた食生活:体調を整えるためには、栄養バランスが大切です。胃腸の調子が悪い場合には刺激の少ない食事が良いでしょう。
- ストレス管理:精神的なストレスが症状の引き金になることが多いため、ストレスを減らし、リラックスする時間を作るように心がけます。
- 適度な運動:関節の痛みがないときには、軽い運動で筋肉を保ち、体調を維持することがすすめられます。
- 感染予防:免疫が抑制される治療を行っている場合は、風邪や感染症にかかりやすくなるため、人混みを避けたり手洗いを徹底したりすることが大切です。
ベーチェット病は、症状が一時的に良くなることもありますが、再発を繰り返す病気です。
アンジュルムの平山遊季さんも、発熱と倦怠感がずっと続いており、経過観察の結果ベーチェット病と診断されたようです。
ベーチェット病は早期の治療と適切なケアを続けることで、症状をコントロールしやすくなるケースも多くあります。
また、定期的な医師の診察を受け、症状に応じた治療や生活習慣の見直しを行うことが、生活の質を保つために大切です。
家族や周囲のサポート
ベーチェット病は症状が再発を繰り返すため、本人だけでなく家族や友人など周囲のサポートが大切です。
家族が病気について理解を深め、患者さんの体調に合わせたサポートを提供することで、患者さんの精神的な負担が軽減され、症状の悪化も防ぎやすくなります。
例えば、症状がひどいときには無理をせず家事を手伝ったり、体調の良いときには一緒にリフレッシュできるような活動を楽しむなどが役立ちます。
また、患者さん自身も家族や親しい知人などに状況を共有することが重要です。
痛みや不快感を抱えたまま一人で頑張ろうとするよりも、自分の体調や気持ちについて話すことで、サポートを受けやすくなり、心理的な負担が軽減されます。
ベーチェット病の最新研究と将来の展望
ベーチェット病は原因が完全には解明されていないため、現在も世界中で研究が進められています。
特に注目されているのは、免疫系と遺伝子の関係や、環境要因がどのように病気の発症に影響を与えているかという点です。
また、遺伝子治療や新しい免疫抑制薬の開発も進められており、これにより副作用の少ない治療法や、再発しにくくなるような治療法の可能性が広がっています。
特に「生物学的製剤」と呼ばれる最新の薬剤は、免疫の過剰な反応を抑える特定のタンパク質に作用するもので、よりピンポイントでの治療が可能になることが期待されています。
こうした新しい治療法の登場により、ベーチェット病の症状のコントロールが以前よりも容易になってきています。
まだ臨床試験の段階であったり、保険が適用されない場合もありますが、今後、さらに効果的で安全な治療方法が普及することが期待されます。
自己管理とセルフケアの重要性
ベーチェット病は慢性疾患のため、日々の生活での自己管理が非常に重要です。再発を防ぐためにも、次のようなセルフケアを日常生活に取り入れると良いでしょう。
- 規則正しい生活リズム:毎日同じ時間に起き、適度な睡眠を確保することで、体の免疫機能が安定しやすくなります。
- 定期的な健康チェック:医師の指示に従って定期的に検診を受け、症状の変化に早く気づくことが重要です。特に眼科の検査や関節の状態など、異変があれば早めに対処できるようにしておきます。
- 無理をしない:症状が落ち着いているときでも無理をしてしまうと再発の引き金になることがあります。家事や仕事、運動の量を適度に調整し、無理なく続けられるペースを保つことが大切です。
- サポートグループの活用:同じ病気の患者さんたちとの交流を通じて情報を交換したり、心理的なサポートを得ることも、自己管理を続けるうえでの励みになります。地域の患者会や、オンラインのサポートグループも利用すると良いでしょう。
ベーチェット病に対する理解の広がり
ベーチェット病は認知度が低く、周囲の理解が得られにくいと感じる患者さんも少なくありません。
しかし、近年では自己免疫疾患や希少疾患への理解が進み、患者さんのQOL(生活の質)向上を目的とした社会的な支援も増えてきています。
医療機関では、希少疾患をサポートする専門の相談窓口が設置されることもあり、さまざまな制度を利用して生活しやすい環境を整えることが可能です。
また、職場や学校においても、病気について適切に説明することで、周囲からの理解や配慮が得られやすくなります。
必要に応じて、医師や支援機関から発行される証明書などを提出することで、勤務時間の調整や通院のための時間を確保しやすくなります。
終わりに
ベーチェット病は、一度発症すると長期間にわたり付き合っていく必要がある病気です。
しかし、適切な治療と生活の工夫によって、症状をコントロールし、再発を防ぎながら日常生活を送ることが可能です。
早めに医師に相談し、適切な治療方針を立てること、そして何よりも自分自身の体調をよく観察し、生活リズムや環境を整えることが病気との上手な付き合い方につながります。
今後、さらなる研究と治療法の進展により、ベーチェット病の原因や根本治療に関する解明が進み、より多くの患者さんがより良い生活を送れることが期待されています。

